查看原文
其他

【BizCHINAコラム】日本政府が入国前スクリーニング実施へ──今なお脅威の「結核」

 日本政府は2020年3月26日、日本への入国前結核スクリーニングを実施する、と発表した。日本国内で、外国生まれの結核患者数が増加傾向にあることから、条件に該当する渡航者の入国を拒否する。長らく死病と恐れられた結核は、日本ではいまだに年間2000人が死亡している感染症で、近年では集団感染の場が企業など職場にシフトしている。医療崩壊を防ぐためにも、新型コロナウイルス以外の疫病にも注意を向けていこう。


↑ 世界では今なお死因トップ10に入っている結核。日本でも依然、主要な感染症のひとつとなっている

 

外国生まれの患者が増加

 入国前結核スクリーニングは、患者数が多い国の国籍保有者で、日本に長期間在留しようとする人を対象に、結核に罹患していないことを証明できない場合は入国を拒否する対策。7月1日以降、準備の整った対象国から順次実施する。

 対象国はフィリピン(2018年の日本における患者数は340人、出生国割合は20.4%)、ベトナム(同289人、17.3%)、中国(同274人、16.4%)、インドネシア(同171人、10.3%)、ネパール(同170人、10.2%)、ミャンマー(同101人、6.1%)。

 日本国内では今でも年間約1万5000人が結核を発症し、約2000人が死亡している。特に、罹患率の高い国の出生者が日本滞在中に発病する例が見受けられ、2018年の新登録結核患者数のうち外国生まれの患者数は1667人と、前年比137人増となっている。

 こうした傾向を受けて、2018年2月の第9回厚生科学審議会結核部会で入国前スクリーニングの実施が決定されていた。

 

集団感染の場は、職場へ

 結核は、結核菌によって発生する日本の主要な感染症のひとつ(※1)。いわゆる空気感染を起こし、一般的には肺の内部で増えて咳、痰、呼吸困難などの症状を呈するが、腎臓、骨、脳など体のあらゆる部分に影響を及ぼすことがある(※1)。

 感染後すぐに発症するとは限らず、体内にとどまったのち活動を再開、発症するケースもある(※1)。

 世界では、2018年には年間推計1000万人が感染しており、推計145万人が死亡している(※2)。感染者が多いのは東南アジア、アフリカ、太平洋西部だ(※2)。2019年時点でも依然として世界の死因の上位10位内にあり、単独の感染症による死因としてはエイズを上回りトップレベルにある(※2)。

 日本国内における結核は、患者数及び罹患率(人口あたりの新規患者数)は減少しているものの、依然として日本の主要な感染症となっており、毎年新たに1万5000人以上の患者が発生している状況は、世界的にも低蔓延国ではない(※1)。

1950年代までは日本でも死亡原因の第1位を占め、国民病・亡国病と恐れられてきた(※3)。医療や生活水準の向上で、薬を飲めば完治できる時代になったが、決して昔の病気ではない(※3)。

2018年の新登録結核患者数は1万5590人と前年比7.1%減、人口10万人あたりの罹患率は前年比1.0ポイント減の12.3、死亡数は前年比102人減の2204人と、全体としては減少しているものの、前述のように外国生まれの日本滞在者の発症は増えており、日本生まれの患者数も10~14歳は前年比2人増、15~19歳は同7人増と、わずかながら増加している(※1)。

 さらに、最近では集団感染の中心が子供から成人へとシフトしている(※3)。1950年代の日本では20歳までに人口の半分以上が感染しており、学校や塾以外の場所で新たに感染するケースは少なかったが、近年では中年以上でも大多数が未感染のため、集団感染の舞台が学校から一般の職場へと変化している(※3)。

 なお、海外を中心に、牛の未殺菌乳からつくられた乳製品の飲食によって、ウシ型結核菌に感染することもあり、厚生労働省検疫局は注意を呼び掛けている(※4)

 

不適切治療で、超多剤耐性結核も

 では、一般市民や企業にできる対策は何か。

 早期発見(※1)と、適切な医薬品の使用および治療だ(※5)。

 結核の症状には特徴的なものがなく、痰、咳、微熱や倦怠感など、一般的な風邪症状とよく似ている(※1)。異なるのは、それらの症状が長引くこと(※1)。痰の絡む咳が2週間以上つづいている、微熱・身体のだるさが2週間以上つづいている、これらに該当する場合は、結核の可能性がある(※1)。

 早めに医療機関を受診するとともに、受診時にはいつもの風邪症状とは異なるところを医師に伝える(※1)。医師も、通常の風邪の症状とは異なるところを聞き出す(※1)。患者と医師の間でそういった情報のやり取りがないと、診断の遅れや誤診につながりやすくなる(※1)。

 さらに、職場などでの集団感染を防ぐためには、1人でも結核の患者が出た場合、周囲の人々も検診や観察(接触者検診)を受けることが重要になる(※3)。

 結核は、治療を始めれば1~2カ月で周囲の人に感染させるリスクはなくなり、6~9カ月、医師の指示どおり毎日薬を飲めば治る病気だ(※1)。

 だが、近年では不適切な治療や治療の中断により、複数の治療薬が効かなくなった多剤耐性結核菌、ほとんどの治療薬が効かなくなった超多剤耐性結核菌が出現し、新たな脅威となっている(※5)。日本でも多剤耐性結核菌、超多剤耐性結核菌の患者が発生している(※5)。

 日本では結核全体の治癒率は80%以上だが、多剤耐性結核では治癒率は外科療法を含めても50%程度、化学療法が事実上不可能な超多剤耐性結核は治癒率が30%程度に低下する(※5)。

 医療機関側には適切な化学療法や使用薬剤を選択すること、患者側はきちんと医師が指示する期間、中断することなく治療薬を服用することが求められる(※5)。

 

<参考資料>

日本政府2020年3月26日付発表および下記

※1:日本政府厚生労働省公式サイト

※2:WHO(世界保健機関)“Global tuberculosis report 2019”

※3:日本国公益財団法人結核予防会結核研究所公式サイト

※4:日本国地方独立行政法人大阪健康安全基盤研究所公式サイト

※5:日本政府厚生労働省検疫局公式サイト

 

    您可能也对以下帖子感兴趣

    文章有问题?点此查看未经处理的缓存